2012年2月2日木曜日

【レポート】Hope Moon Academy Orchestraの第2楽章

望月ゼミOB・OGによる学びの場、HopeMoonAcademy-Orchestraの第2楽章が、11月27日に開催されました。
場所は初回と同じく、東京阿佐ヶ谷 ヒメモス。

前奏曲の前に、望月ゼミにとって悲しいお知らせが舞い込みました。
予てより、代々の望月ゼミ生がお世話になり続けた山田剛義先生が11月25日午後に亡くなられました。
現役生にとっても、春学期のD-1でお会いしご講評を頂きました。個人的な話ではありますが、その日D-1を終え教室を歩いていたとき、ふっと顔を上げると目の前には山田先生がおられました。次の瞬間、満面の笑みで差し出された手を、思わず強く両手でしっかりと握り返したのを今でもよく覚えています。この人にまた会いたいと願う気持ちが真になるのには十分すぎる、力強さと魅力をこの一刻は含んでいました。今となっては、最初で最後の邂逅、この願いが叶う日は訪れません。しかし1度きりの一刻だったからこそ、あの手とあの笑顔を忘れることはありません。山田剛義先生の死を悼むばかりです。


さて、今回のテーマは「オタクとカリスマ」、壮大なテーマのもと望月先生による前奏曲が今回も始まります。
まず、「オタクとカリスマ」という2つの言葉は現代社会のあり方を照射した、キーワードであると述べます。
オタクと近しい言葉としてカウチポテトという言葉も存在します。カウチポテトに積極性はなく、オタクは熱を湛えています。この2つは似て非なるものです。
カリスマとヒーローは、これもまた似て非なるものです。
例えば、ヒトラーはカリスマ、スティーブ・ジョブズはヒーローだったかもしれません。
ヒーローは、ヒーローを目指す人々にとって憧れであり、自分を照射する鏡になり得ます。
カリスマは大衆を導く大きな力を持っていますが、時にはその存在が悲劇となることもあります。
今の時代はどちらの存在を求めているでしょうか。カリスマの登場を望む声もあるが、これはカリスマの登場を求めなければならない時代でもあると言えます。
そして、それは1人1人が自分の哲学を追い求められない時代だと語ります。

また、オタクとカリスマという2つの言葉は対極にあるようで、実は同根の物です。
両者は共に、「閉じる」というベクトルの上では同じです。
しかし、オタクは内側に閉ざされ、カリスマは外側に閉ざされていきます。
内に閉ざされたオタクからRubyという言語は生まれ、外に閉ざされたカリスマから人々を先導する力が生まれました。

最後に、現代は情報氾濫の時代、同じ情報に触れることで個が希釈するとも述べられました。
情報氾濫の中、孤独を保つ。天才と病気は紙一重、今こそニーチェの狂気の哲学、狂気が自己を守り、狂気への進化が鍵を握る。

オタクとカリスマは表層的以上に、内層的に見たとき様々な問題をはらんでいる。
と、前奏曲は締められ次のゲストトークへと渡されました。

今回のゲストトーク、スピーカーは4名の方々です。
司会の平野さんから、1人ずつ簡単な自己紹介をとふられます。

1人目は木下祐幸さん、トゥモローランドという会社で服の販売員を経験した後、現在ではメッツライフアリコにてコンサルタントを勤めています。
木下さんは、オタクもカリスマも自称するものではないのでは、と語りぜひ今日のトークを終えて自分がどちらなのかを見て欲しいと述べました。
因みに、前回の開催日に誕生日だったことを発表した木下さん。今回もなんと発表ネタを仕込まれてました。毎回何かしら発表しようとのことですので、気になる方は次回をお楽しみに…。

2人目は田中義直さん。
容器製造メーカーに勤めるる田中さんは「物を売っていく身として、必要なものはストーリーでありカリスマという存在は必要なくなっていくのではないか」、と述べられました。
また、「いい物を作れば売れるという時代ではない」と製造業の視点からカリスマ・オタクについてお話いただきました。

3人目は石川健太さん。
多摩大学3年生で野田ゼミ所属の大学生、コーヒーにハマりカフェを開店したり、海外での登山やバックパック旅行に出かけたり…と、多彩な経験を持つ行動派。
今回は縁あってスピーカーとして参加して頂きました。

4人目は柳生忠勝さん。小豆島でオリーブ栽培・オリーブの化粧品を販売製造しておられます。
オタク・カリスマについては、「カリスマの世間に見せる姿と間近で見る姿は違うのかなと思う。私はカリスマに合ったことがない。」と述べられました。

ゲストトークは今回も、参加者を巻き込みつつ進みます。
カリスマは必要か、必要でないかという話、オタクはMなのか、木下さんの狂気のコンサルタントっぷりが垣間見える一幕もありました。
様々な議論やトークが交された後、最後に望月先生は 「カリスマが必要か不要よりも、カリスマ不在時の社会をどうデザインしていくかが大事」 と仰られました。


早くも2回目にして壮大なテーマと対峙した、HMA-Orchestra 。
2ヶ月前に始まった知の旅路の中、今回新たな参加者の方にもお越しいただきました。
次回は1月29日、HMA-Orchestraの旅はまだまだ続きます。

(Writer:Hiroshi Kinoshita)

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